愛それは〜♪

私が今よりまだず〜っと若かったころ、世の中は『ベルサイユのばら』ブームで湧いておりました。
今思えば時々NHKの放送でこのベルばらが流されていたのを見たのが先だったのか、漫画の本を読んだのが先だったのか、もう忘れてしまったけど、当然のことながら小さかった?私もベルばらの虜になりました。

けど、大劇場の公演を観るなんてことは、月に行くより現実味のないことで、夢のまた夢の話で、いつしかすっかり忘れ去られてしまいました。

だ・か・ら・

「ごらんなさ〜い♪」で始まるプロローグは、これぞ「正真正銘」の『ベルサイユのばら』であり、それを観劇できた時の感動は・・そう・まさに涙が流れるくらいの喜びでありました。

そう・「ベルばら」なんでした。
始めの方こそ、感動に高鳴る鼓動を抑えきれずにいましたが、物語が進んでいくうちうっすらと忘れかけていた思いが甦ってきました。

「ベルばらは ベルばらだった・・・」

場面転換の度に閉まるカーテン・・・・いったい誰に話しかけているのか、その前で始まる説明口調の台詞。

その台詞をその人が言うのか・・と傾げた首を元に戻す隙も与えず、分かってはいても、ジェローデルがフェルゼンに助けを求める場面まで来ると「も〜なんでもありだなあ」と諦めモード。


いやいや・それこそが『ベルサイユのばら』なんだよ・と言われればまさに、私は『ベルサイユのばら』を観た・のだと思う・のでありますが(笑)。

けどまぁ〜これまで映像のベルばらは何回となく見てはいても、実際に舞台を観ればなんやかんやという思いはあれども、感激することには間違いないわけで、壮さんのフェルゼンは気品があって美しかったし、オスカルもアンドレも自分の目で見ることができたことは幸せなことではありました。

一幕最後フェルゼンが銀橋を立ち去る場面の盛り上がりには鳥肌がたったし、拍手をしながら、客席の拍手の大きさに胸が詰まる思いもしました。
二幕後半の王妃様との牢獄のシーンも、それまでほとんどふたりのからみがないにも拘らず、こんなに切ない別れがあっていいものか・・と(想像力だけは豊かなので)涙が溢れてしまいました。

それにしても、やっぱりもう少しフェルゼンとアントワネットの恋模様を見せてくれた方が最後の別れに涙する観客が多いと思うんですがねぇ〜。いや十分鼻をすする音は聞こえてますが。
しかし・逆に言えば、ほとんどふたりは会話らしい会話はしていなくても「心で結ばれている」ってことでしょうか。牢獄のあのシーンだけで、ふたりのお互いに対する愛情が溢れていることが痛いほど分かって、それだけの想いをあの短い時間で表現できるお二人はさすがだわ、とも思いましたとも。

このフェルゼン編で一番印象に残っているシーンは実は、メルシー伯爵がフェルゼンにスウェーデンに帰ってくれと懇願する場面。
最初に見た(DVDで)宙組のそれではメルシー伯の未沙のえるさんの迫真の演技に感動し何回そのシーンだけ見たことか。宝塚で初めて覚えた名前は和央さんだったけど、次に覚えたのがこの未沙さんだった。

次に見た星組のその場面では、メルシー伯爵がフェルゼンのいる部屋まで誰にも見咎められることなく侵入できた、その事実に「大丈夫か?この屋敷」と苦笑の方が勝ってしまったがゆえに忘れられないシーンとなった。

そして雪組では、メルシー伯の言い分を「あなたは自分のことしか考えていない」と笑うフェルゼンに「どっちもどっちだな〜」とちょっと覚めた目で見ている自分がいた。
けどわたし的には「メルシー伯に一票!」
フェルゼンの言い分も分かる。けどどう贔屓目に見てもメルシー伯が言うように「一国の王妃を自分のものに出来るとお思いか」が真実なんだよ。

〜ということで、今回もやっぱりこの場面は未来永劫「名シーン」なんでありますよ。た・ぶ・ん。

今回もうひとつ感動したのがフィナーレの大階段での「オマージュ」
この存在をすっかり忘れていたので、娘役さん達がローソク持って出てきた時には「きゃ〜」と(歳がいもなく)心の中で叫びました。男役さんの黒燕尾でのダンスはこれが一番好き。
映像でもこのシーンは数えきれないくらい見ているけど、どうしても映像はトップさん中心のカメラアングルだから、大階段で踊っている方々の動きは実はよく分からない。
なので、今回は壮さんには申し訳ないけど、大階段の男役さんたちを見ておりました。

初舞台生の初々しさも・トップ壮さんの自信に溢れる姿も・綺麗なドレスも・誰もかれもいちいちマントを翻しながら歩く姿も・お決まりのポーズも・実際に舞台を観なければ味わえない「奥深さ」が十分堪能でき、最後にはやっぱり

ベルサイユのばら』は  素晴らし〜!!

とありきたりな表現で締め括らさせてもらうのでありました。