真夜中の凱旋門

2000年雪組の『凱旋門』を初めて最初から最後まで見ました。
何と言いますか久しぶりに「大人なドラマを見た〜」という感想なんですが、お芝居のどこにもクスリと笑えるシーンがない・・・。

しかも、轟悠さんラヴィックの恋人?ジョアンがまあ激しい・激しい(笑)。始まったと思う間もなく「この世はすべて愛!よ」みたいな情熱でラヴィックに陶酔していく様は若干「大丈夫かいな・この女」と心配になるくらいの一直線型(笑)。ラヴィックが困惑する気持ちもよく分かる。

このジョアンってなんだか『マノン』のマノンに似ているよな〜と思いながら、こんな女に男は翻弄されて自滅していくのね・・・なんて思ったり。


この公演に当時だんご3兄弟と呼ばれていた安蘭けい・成瀬こうき・朝海ひかる・さまお三方が勢揃いしている事は知っていたけど、こうやって見ていると贅沢な舞台だな〜とも思えたんですがね。
ただ、役的にはまだまだ中堅時代、話の本筋にはそれほど関わりはないんですね。成瀬こうきさんがちょっと悪い人?って思ったくらいで、やっぱり香寿たつきさんや汐風幸さんの、主人公と絡むお芝居っぷリがいい味出してます。

とうこちゃん役のハイメって足が不自由だったんですかねぇ・・・。登場シーンは杖まで付いているのにその後はえらく元気だったけど・・・・。途中から完治したのかなあ。

この大劇場公演を最後にとうこちゃんは雪組から、星組に組替えになったんですね。千秋楽の翌日が組替え日だったって事は、この公演では東京には行ってないってことで、そのためかどうだか分からないけど、特別に役替わり公演なるものが実施されたんですねぇ。


たった一日だけラヴィックの親友ボリス役に、そしてそのラヴィックを朝海ひかるさんが演じ、ふたりの別れのシーンが涙を誘ったとか。


なんとも心温まる劇団側の配慮(か・どうかはわかりませ〜んよ)なんだけど、素朴な疑問としては、その日轟さんや香寿さんは何をされてたんでしょうかね・・・轟さんがハイメ役やってたら面白いけど、そんなことはあり得ないでしょう(笑)。

それにしてもたった一日限りの役替わり公演とはいえ、それなりにお稽古されたんでしょう。考えようによっては新人公演よりハードなような気がするけど、これも劇団側の策略?いえ・思いやりなんでしょう(笑)。


お話し自体は最後が??で、幕が降りて鳩のような鳥のような群舞が始まったからその間にお芝居の続きの配置転換でもやってるのかと思いきや、唐突にフィナーレが始まったからこりゃビックリ!。

一本物で、最後にフィナーレがつく事はよくあることだからなんの不自然さも感じないけど、これは別にショーがあったんだからお芝居の方にフィナーレが付くとは思っていなかったんですね。だから余計にビックリです。
どうやら先に『デパートメント・ストア』があって次に『凱旋門』があったのでしょうね・・・普通に考えたら・・・。


それにしてもとうこちゃんも結構舞台上で大汗かいていたけど、轟さんも負けず劣らずの大汗っぷりで、それはみているこちら側が心配になるくらいで「もういいから早くソデに戻って汗を拭いてきて〜」とお願いしたいほどなのに、そんなことはお構いなく 歌うは・踊るは・愛は囁くわ・でさすがに男の中の男ラヴィック、汗なんかに負けてません(笑)。
そして、そんなところがジョアンのハートを捉えて離さないとみえ、どんなに汗のしずくが振りかかろうとも、うっとりと酔いしている表情はまさに恋する女そのものです(笑)。


終わりまで見ていてこんな大人な女性を自然に演じている月影さんはいったいこの時研幾つなんだろう〜と思っていたら、とうこちゃんより1こ上級生なだけだったんですね。すごいわ〜。

なんとなく見始めた『凱旋門』だったけど、見終わったら夜中の1時になっていて特別面白いと思ったわけでもないのに(笑)きっちり見てしまったという事はやっぱり面白かったんだろう・・。なんとも不思議な余韻が残るお芝居だったな。

さすが


轟悠さん・・・です・・・ね。