大海原に飛ぶ一羽の鷹

一年前に大劇場で観た『TRAFALGAR』の放送を楽しみに待っておりました。
やっぱり一年前だし1回こっきりの観劇だったから、忘れていたところも多くて舞台後ろに映像が流れていた事なんてテレビを見始めて初めて気がつく始末。


この作品はね〜どうしても星組の『エルアルコン』とダブらせてしまうのよね。作・演出が同じ齊藤先生だからオープニングのあの壮大なスケール感も、物語の終わり方もどことなく似通っていて、初めて観た時からその感覚はず〜っとあって、でもまあ仕方ない事なんだろうな〜と思っておりましたんです。


けど、今回じっくりと見たらトラファルガーの根底に流れていたのは愛で、エルアルコンは野望だからね、設定が似ているだけでまったく違う作品として楽しめました。


まあ・じっくり見るとそれはそれでつっ込みどころもあるわけなんですが(笑)いきなり売られちゃうエマはそれでも最低限の抵抗くらいしょうよ〜とか、ホレイショもエマも一応結婚してるんだから手を握ったくらいで恋に落ちゃダメでしょう〜とか戦火の中あんなにのんびりと自己紹介してる場合じゃないでしょう〜とか、人前でこれ見よがしにいちゃついたら自分たち自らばらしてるようなもんじゃないの〜とか・とか・いろいろと(笑)。



国家の存続をかけた壮大なる戦いと、闘う事の意味を問うた誠に奥深い作品ではありましたが、その実不倫関係にある男女の苦悩がその大方の話の筋を占めている辺りはヅカ作品の醍醐味でもありましょうか。


ヅカ作品といえばもちろんトップ中心の物語で、その主役に対抗すべく人物は2番手スターが担うのが常、なんだけどこの作品に関しては蘭寿とむさんのナポレオンより、エマのだんなさんハミルトン役の北翔さんの方が印象に残ってしまう。



演じる上でも女性を買い取ったり、不倫をされたり主役と取引したりと、作り甲斐のある役のような気がしました・・・(役作り云々なんか素人にはわからないけど)
結局いい人だったのかそうじゃなかったのか、はっきりはしないんだけど同情には値する人だったな〜。


英雄ナポレオンはどこから見てもナポレオンで、けど彼を語るには知識が乏しいから割愛するけど(笑)私の中のナポレオンは


「たしかにナポレオンは戦略に長けた英雄かもしれない。しかし皇帝に即位するのとは問題が違い過ぎる」


と「外伝・べるばら」のベルナールが危惧していたあの言葉の信者としましては「許すまじ」なナポレオンなのであります(笑)。
最後くらいホレイショとナポレオンの壮絶な戦いの場面を見てみたかった気もするけど、大概の場合先頭で闘うのは下っ端兵の役目だからそこは仕方ないのでしょう。史実が変わっても困るし(笑)。


大空さんは相変わらずカッコいいし海軍としての力強さもあるんだけど、エマと語り合う時のあの優しい笑顔にはもう〜なんていうか仕事なんていいからそのまま駆け落ちでもなんでもしちゃって〜と 不倫?いいんじゃない・・って気になってくる・から不思議・・・(話が別物になる可能性大ですが)



先日まであっていた宙組公演もそうだけど、大空さんの作品は大作ありコスチュームありと作品には恵まれているんじゃないかなと思うのです。いえ・どの組も実際に見たらいいのでしょうが、それが出来ない身としては公演中の評判はなかなか興味深いものではあるんですよね。その点でも宙組はいいな〜と思うのです。



最後にどうでもいいけど、ホレイショとエマの子どもの名前「ホレイシヤ」を間違えそうになった人はいなかったんだろうか〜と心配になったのは私だけでしょうかね・・・。


ホレイショが死んだ時の叫びが「ホレイシヤ〜!!」になってたら、もう誰も笑うに笑えないある意味壮絶なシーンになったかも・・・・なんてことは考えてはいけません。



見終わって『TRAFALGAR』と『エルアルコン』がまったく違う作品だと理解しつつも、どっちの作品が舞台セットにより費用をかけたんだろう〜といらぬ事に思い巡らせてしまったのは戦艦の違いが記憶に残っていたからかもしれません(笑)。