眼下に広がる夢幻の世界

昨年の花組公演『相棒』を楽しませていただきました。
TV放送は殆ど見た事はなかったけど、杉下右京なる人物には多少なりとも予備知識があったから、真飛さん演じる右京には「さすがの真飛さん」って拍手!です。


いつもは 「トップさんが演じるその役」 って感がどうしてもあるんだけど、これはそれを感じなかった。実際にはTVの中の右京さんを真似て役作りをしたんだろうけど、あそこまで見事に右京さんになっちゃうと、もう「だれでもいいよっ」って感じだよ(なにそれっ笑)。



取敢えずは録画していたんで、明日にでもゆっくり見ようと思っていたんだけど、付けたら始まっていたのでそのまま終わりまで見てしまった。最初の20分程は見逃したけど、まあ話が分からないってことも・・・なくはなかったような・・・。
最後の方で取ってつけた様な臓器移植の訴えがなんかわざとらしいなぁって思ったけど、テーマはこれだったんだろうか。


桜乃彩音さんのパリス・・・ちょっととかげちゃんを思い出させたけど、こんなわがままっぷりな役も楽しそうだし似合ってた。
ただ、あの髪型というかかつらはもう一工夫ほしかったな。


この公演があっていた頃、よく流れていたシーン・・・
パリスが防毒マスクをかぶってピアノを弾いてるとこ。なんだか不気味なシーンだなあと思っていたけど、見てやっと分かった。
けどさあ〜


夢オチ はどうかと思うけどなあ。
たしかに、娘役トップが殺人犯じゃまずいよね。まあ殺しちゃいたいくらいの心情を現わしたかったんだろうけどさあ。
それにしても
夢とは往々にしてあちゃこちゃ話が飛ぶもんなんだけど、パリスは実に見事に時系列に沿って夢をご覧になっていたようですな。
しかも、絶対に想像でも知り得ない角田さんたちの行動まで夢に見ちゃうなんて、どんだけエスパーなんだ。
ピアノの才能よりそっちの才能を開花させた方が儲かる・かもよと余計なお世話を考えちゃいましたが(笑)。



千秋楽の真飛さんのご挨拶風景には久々に笑わせて頂きました。
観客とのやり取りをあんなに丁寧にされるトップさんも珍しいような・・。客席の声は残念ながら聞き取れなかったけど。
この公演が決まった時はドラマの舞台化がどうなるのか、期待と不安が多少なりともファンの中にはあったと思うけど、結果的にはよかったんじゃないんでしょうかね。
なんだか、パート2があればいいのになあと思ったもの。
でも・・・もう真飛さんの右京は見られないんだね・・・・残念。



残念な気持から突然、期待に満ち満ちた話しに変わります。
が・
私だけが喜び、誰もが期待を裏切られる話です(笑)。




観劇の際忘れてはならない必需品・それはオペラグラス。
大劇場観劇では、いつも後方席なのでオペラは欠かせません。
初めての宝塚観劇のときにはロビーで借りたんだけど、殆どの人が持参しているのを見て、ヅカファンなら当然持っていなくてはならないアイテムだと認識した。
ので、私も慌てて買う決意をした。だって一刻も早く仲間入りがしたかったんだもん(笑)。
けど、双眼鏡って家電用品の中では種類が少なくて、選ぶ余地すらないの。その頃は今ほどPCに向かう時間も無くて、結局は店頭にあったものを適当に選んで適当な物を買ってしまった。
で・それをず〜っと愛用していたんだけど、いつも心のどっかでヅカほどの愛情を持って品定めしなかった自分が許せなくて(うそです)いつか買い替える機会が来ることを虎視眈々と狙っていたんだ(単純にオペラ貯金が貯まるのを待ってただけです)。



そして、ついにその時はやって来たのです!!
いや〜っ・何と言いますか、その気になって検索致しますとたくさんあり過ぎて何を基準に選んだらいいもんか〜。
やっぱ、お店の人に相談した方が結局は早いのか、とも思ったけど如何せんあの品薄状態では相談以前の問題だろうし、きっとここら辺りの人口比率からしてオペラの需要そのものがないのかもしれない。そんな悲しい現実に心を痛めても私ひとりの力ではどうしょうもないので、そんな事にはさっさと見切りと付けて、こんな時にありがたいみなさまの声を参考に三日三晩考えあぐね、最終的には「まっこんなもんかなっ」てとこで手を打ち、所詮素人ゆえ判断の付けどころが見た目、という本末転倒な結論で一件落着。



で、とうとうそれが届きましたの。


まずはお日さまを見ないよう注意しながらおうちの近くを覗きます。
何やら白っぽい物がめいっぱいに広がって見えます。
なんだ・なんだと少し視界を移動させるも同じような風景が見えるばかりです。
双眼鏡を離して確認すると遠くの山々が映っていたことが判明。
山の木々に焦点を合わせたところで、感動するような光景には出会えません。
もっと色とりどりの心弾む風景が見たいのです。
私はベランダに出て、くるりと全風景を覗きました。
見えるのは山の木々と畑の草ばかりです。



忘れておりました。
田舎暮らしに双眼鏡など必要ないのです。
近くに引き寄せて見えたところで、山か畑しかないのですから・・・。
私にバードウォッチングの趣味でもあればまだ救われましょう。
ですが、私が覗き見したいただひとつの物体は「安蘭けい」さまそのお方なんです。



私はその双眼鏡で取り扱いを試す事を、ものの数分で諦めました。
まったくつまらなかったからです。



いいでしょう。
その日まで待ちましょう。
この双眼鏡でどんなとうこさまの表情が確認でき、どんな世界が広がり、どんな感動が得られるのか。
「それこそが私が望んでいたものではなかったのか〜あ!」
とラダメスも世界に向けて叫んでおられました。


まさに、そんな気分です。

私だけが感動できる、私だけの楽しみを誰とも共有できないことをお許しください。



もし、ピアフの劇場で双眼鏡を頬に当てすりすりしたり、休憩中も覗いている見るからに楽しそうな人がいても、見て見ぬふりをしてください。
双眼鏡を貸してあげたくても貸せませんから・・・(笑)。