新たなる伝説へ

昨夜の星組『スカーレットピンパーネル』の新人公演を見た。


新公はお勉強の場だから、当然本役さんの役作りを真似てするもんだ、と思っていたが、紅さんは随分とご自分の解釈でパーシーを作り上げているんだなと見ていて感じた。
紅パーシーもその役作りが一貫していたから、とうこパーシーとはまた違っていて別バージョン(笑)を見ているようで、それはそれで面白かった。



2幕物を1時間45分に短縮する訳だから、どこをどうカットするのか、そんなところも楽しみに見ていた。
場面は、ばっさりカットなところもあったけど、見ていて気にならなかったのはさすがなんだろうな、演出家の。


歌はプロローグでパーシーが歌う「ひとかけらの勇気」を固唾を飲んで若干拳を握りしめながら聞いていたひとりとしては、その後の「祈り」がカットされていたのはうれしかった(笑)。


終盤、全ての誤解が解けパーシーが喜びに満ちて歌う「目の前の君」は紅さんのやりきった感が溢れていて思わず拍手したくなったところだ。

それから続く、「栄光の日々」にはパーシーは出てこなかったが、代わりに、デュハーストが
「ディドリーム号をミクロンの入り江に・・・」のせりふを言った時は「えっ、それあなたがいうの?」って思ったが、「詳細はパーシーからのメモに」
ああ 納得。


ルイ・シャルルの
「パーシーが勝ったらどうなるの」のあとも
「血で血を洗う争い・・決着をパーシーなら見せてくれるでしょう」
ほほぅ うまく合わせたもんだな、妙に感心。


この手法を使えば、あの時期大汗をかいて、熱演していたとうこパーシーをもう少し休ませてあげられたのでは・・。
たとえば・・だ。


結婚式のあとの喜びから一転絶望の中で歌う大曲「祈り」の後は一旦袖に引っ込み涼んでもらうのだ。
次の図書室の場面では、デュハースト君に仕切ってもらう。
「我々は亡き国王の遺児ルイ・シャルル殿下をお救いする計画を練っている。活動を続けるには更に仲間が必要なんだ。君たちとは長年の信頼を築いてきた。改めてここで問おう。我々の活動に参加してはくれないか?とパーシーからの伝言だ。」
「OK いいよ」
「よし じゃ 行こうか」


随分と軽くなるが、パーシーの負担も軽くなるというものだ。


グラパンに扮してシャルルに初めて会いに行く場面では、フォークスに活躍してもらおう。
「殿下」
「ぼくは殿下なんかじゃないんだ」
「真実の姿を隠しているのは殿下だけではございません」
「だれ?」
「パーシーバルブレイクニーの親友・のフォークスと申します。殿下をお救いする計画を進めております。」
「ありがとう すぐ来てね」
「うん もうちょっと 待っててね」


シャルルのために、ポタポタと汗を流しながらの熱演は見られなくなるが、体内水分保持のためにはやむをえない。


この際ざっくり省くシーンがあるとすれば、
洗濯かごに入って荷車に鎮座しているパーシーさまだ。
このシーン パーシーが必要かどうかあの頃から疑問に思っていたんだが。
そう言えば、紅パーシーはあのかごの中は少々窮屈そうだったが、とうこパーシーは余裕で収まっていたような・・・。


極めつけはスカーレットピンパーネル団全員にご登場してもらう 午前1時の控室での場面。
やって来たマルグリットには、早々にご退場願い、団員全員でショーブランを待つのだ。
「おや ショーブラン」
「ここでなにをしているのですか」
「いや〜午前1時にスカーレットピンパーネルが現れるという噂を耳にしてねえ」
「で・誰かに会いましたか?」
「いやあ 君が最初だ・・・」
とショーブランをみんなで囲むのだ。
そして
「自分こそがスカーレットピンパーネルだ」と主張しよう。
数に勝る勝利はない。
ショーブランはしっぽを巻いて退散するはずだ。
団員の顔は知られてしまうが、頭が切れるかどうか甚だ怪しいショーブランだ。きっと全員の顔は覚えきれないはずだ。
パーシーとマルグリットのすれ違い夫婦の集大成「愛の絆」は聞けないが、これから先の栄光のグランドフィナーレに向かって団員達にも見せ場があっていいだろう。この間パーシーには、最後の決戦に備えてサーベルの手入れに時間を割きたいところだ。


どうだろう・・。


これでパーシーの出番はかなり減らされ、大汗をかくこともなく、喉への負担も少なくなったうえに、他の出演者の出番は増えるのだ。
こんなに良い事はないだろう。


この公演はきっとこの先も再演されると思うが、是非参考にして頂きたい。




うそです(笑)。